八幡公(天 200)

吟譜(PDF)

作者:頼山陽

(一七八〇~一八三二年)(安永九年~天保三年)。江戸時代後期の儒者、詩人、歴史家。
詩集に『日本樂府』、『山陽詩鈔』などがある。

語釈

*結髪・・・髪をゆう。
*弓箭・・・弓矢。
*威風・・・威厳のある犯しがたい様子。
*辺城・・・辺疆の城塞。国境の城塞
*乱鴻・・・整然と列をなして飛ぶ雁が乱れ飛ぶさまのこと。雁行の乱れ。

通釈

成人の髪型に結って以来(=成人になって以降)、軍に付き従った武士のかしら(で)。関八州の草木は、(彼の)武威の風を知っていて(靡(なび)いている)(=従っている)。白旗の軍勢(=源氏の軍)は動ずることなく、静かであり。辺疆の城塞に馬を停めて雁の乱れ飛ぶさまを見ている。

備考

◎作者が源義家の人となりとその武風をたたえて詠じた詩。(後三年の役で、源義家軍が家衡・武衡軍の籠もる金沢柵への行軍中、西沼の付近を通りかかると雁行の乱れがあり、八幡太郎・源義家が清原軍の待ち伏せを見破った故事を謂う。)
◎関八州・・・江戸時代、関東八州(関東八ヶ国)の総称。相模・武蔵・安房・上総・下総・常陸・上野・下野。

範吟

範吟 鈴木精成