望湖楼酔書(天 224)

吟譜(PDF)

作者:蘇軾

(一〇三六~一一〇一)・北宋の詩人。北宋第一の文化人。政治家。字は子瞻。号は東坡。現・四川省眉山の人。三蘇の一で、(父:)蘇洵の老蘇、(弟:)蘇轍の小蘇に対して、大蘇といわれる。

語釈

*望湖楼・・・西湖畔の建物。看経楼とも、先徳楼ともいう。
*黑雲・・・・黒い雨雲。
*翻・・・・・ひっくり返す。反対になる。ひるがえす。
*白雨・・・・にわか雨。夕立。
*如天・・・・大空のように広く、静かで青い。

通釈

黒い雲が墨(すみ)をひっくり返したように(広がったが、)まだ山を遮(さえぎ)るまでには到っていない。夕立が真珠をはねるように船に飛び込んできた。地をまきあげる勢いの強い風が急に吹いてきて、(雨を)吹き飛ばして。望湖楼の下の水面は大空のように(広く、静かで青い)。

備考

六月二十七日望湖楼酔書:六月二十七日に望湖楼で酔いながら詩を書く。夕立に因る天候の急激な変化を詠う。
・六月二十七日:旧暦で夏の終わり。煕寧五年(1072年)六月二十七日。作者は杭州にいた。

範吟

素読・範吟 鈴木精成