将に東遊せんとして壁に題す(天 227)

吟譜(PDF)

作者:釋月性

(一八一七~一八五六年)(文化十四年~安政三年)。江戸末期の詩僧。周防国の人。勤王の志を持っていた。
釈は、釈門の意。蛇足なるが、同時代人に月照(西郷隆盛とともに錦江湾に入水)がいるのに注意。

語釈

*東遊・・・月性が大阪の篠崎小竹のもとへ旅立とうとした時になる。
*郷關・・・故郷の村の門。日本の鳥居に似た感じ。転じて、故郷。
*無成・・・成就することが無ければ。
*不復・・・二度とは・・・ない。再びはない。
*何期・・・どうして期待しようか。どうして願おうか。
どうして希望しようか。反語。反問。
*人間・・・世の中。浮き世。社会。
*靑山・・・墓所とする青山。墓所。

通釈

東の方に旅立とうとして、壁に詩を書いた。
男たるべき者が志を立ててて、故郷を出立したからには。学問が、もしも、成就することが無ければ、二度とは帰ってこない。骨を埋めるのは、どうして故郷の地であることを望もうか。人間には、いたるところに墓所とすべき青山があるのだ。

範吟

範吟 鈴木精成