漫述(天 228)

吟譜(PDF)

作者:佐久間 象山

(一八一一~一八六四年)(文化八年~元治元年)幕末の学者、開国論者、信州松代に生まれる。姓は平氏、名は啓(ひらき)又は大星(たいせい) 、字は子迪(してき)、のち子明(しめい)と改める。通称は 修理(しゅり)、象山はその号、幼にして鋭敏、十六歳で鎌田桐山の門に入りのち佐藤一斉に師事、神田お玉ケ池に 塾(象山書院あるいは五柳精舎という)を興す。常に国家の安危を憂い国事に奔走したが、おしむべし元治元年七月刺客のために斃れる。年五十四歳。 吉田松陰、勝海舟はその門下生。

語釈

*漫述・・・思いつくままに述べる。
*謗・・・・非難する。
*嗤・・・・冷笑、あざけりわらう。
*天公・・・天帝、天、宇宙万有を支配する神。

通釈

私を非難する者も、また、あざけり笑う者も、ともに諸君の意に任せよう。 天はもとより私のことを知ってくれているから、他人から認められようなどとは思っていない。

備考

幕末、開国論を唱え、世人のそしりや嘲笑を一身に浴びながらも、自説を曲げなかった作者の信念を述べたもの。

範吟

範吟 鈴木精成