松島(天 230)

吟譜(PDF)

作者:釈南山

(一七五六~一八三九年)(元文四年~天保十年)江戸後期の臨済宗の禅僧。名は「(山召)チョウ岷」(チョウミン)。字は古梁。号は南屛山人・南山。相模国高座郡大沢村の人。幼少から仏門に入り、十一歳の時、江戸に行き、東禅寺の万菴原資に従って落髪、沙弥となる。寛 政五年(一七九三)三十八歳で仙台瑞鳳寺第十四世を嗣いだ。後、覚範寺へ移り、また瑞鳳寺に還り、晩年は雄心院に退休し、天保九年(一 八三九)十一月八十七歳で没す。

語釈

*山水・・・・山と水がおりなす景色。
*擅・・・・・一人占めにする、の意。
*一方美・・・いち地方の評判。
*衆美・・・・いろいろな美しいもの。
*松洲・・・・松の島=松島の意。

通釈

山水と云うに値する景勝地はそれぞれの地に多くあるが、この松島は、それらの景勝地すべてを一つにまとめたような素晴らしい景観を呈している。即ち、この松島の美しい景観をもってすれば、この松島の他に山水無し、と云っても決して過言ではないだろう。

詩文説明

天下至る所に山水の景勝地がある。それぞれ、その地で高い評判を誇っているであろう。しかし此処松島はそれ等の景勝と比べてみても他に劣らない類の無い天下第一の絶景である。