刈干切唄(続天 33)

吟譜(PDF)

作者:松口月城

(一八八七~一九八一年)・福岡市安徳村今光で藤又四郎の四男として生まれる。本名栄太、号は月城・筑紫山人。
十四歳の時松口家の養子となる。十八歳で開業医の国家試験に合格。医師の傍ら漢詩を宮崎来城・土屋竹雨に学び、詩・書・画に優れる。
常に「判り易い詩を」唱え、全国的に愛吟されている。作詩一万首を超る。医功、教育事業に大なりと文化勲章を授かる。

通釈

詩文説明

刈干切唄の民謡歌がここ高千穂一帯の山々に朗々とこだまして聞こえてくる。その詞はまことに純朴そのものである。
またこの地方も太古の昔から時代の流れにも変わることなく、日本の素朴さが漂っている。村の家々からは、炊事をしているらしく、
その烟が谷間にたなびき雲と一体となり溶け合っていて、和やかな情景を奏でている。

備考

刈干切唄(宮崎県高千穂地方の民謡)・日向の高千穂辺りで、秋になると屋根をふいたり牛馬の飼料にする笹や萱を刃渡り三十センチ、柄の長さ六十センチ余りの大鎌で刈るとき、山の急斜面などで大鎌を振る拍子に合わせながら歌うという、いかにも日本的な素朴感と哀愁をたたえた唄である。(これは、冬の間の牛馬の餌にするために、晩秋、山の斜面に生えている草を「刈って干し」て保存しておく、その刈り取り作業のときの労働歌)