客中の作(続天 35)

吟譜(PDF)

作者:李白

(七〇一~七六二年)盛唐の詩人。字は太白で、自ら青蓮居士と号する。西域で生まれ、四川で育つ。翰林供奉(かんりんぐぶ)となるが高力士に憎まれてまもなく追われ,また放浪生活に入り,その間,杜甫とともに旅をしたこともある。のち安禄山の乱のとき永王の軍に加わったため夜郎 (貴州省) に流されることになり,途中で大赦にあい,また各地を往来するうちに安徽省で死んだ。杜甫とともに中国最高の詩人として「李杜」と並称され,杜甫が「詩聖」と呼ばれるのに対して「詩仙」と呼ばれる。絶句と楽府 (がふ) を最も得意とし,自由奔放で豪快な盛唐の詩風を代表する。詩文集『李太白集』がある。

語釈

*客中行・・・「旅先での歌」の意。
*客・・・・・よその地を旅すること。
*中・・・・・~をしている時、中。
*行・・・・・歌行。詩歌。
*蘭陵・・・・地名。山東省最南端の蒼山(の西南30キロメートル)、棗荘市(の東南東40キロメートル)の中間にある。
*鬱金香・・・チューリップ。
*玉碗・・・・玉(ぎょく)で出来たさかづき。玉杯。

通釈

・「旅先の作  李白」 ・蘭陵のうまい酒は、鬱金香のような芳香をはなっている。 美しき杯にもれば、琥珀色に光り耀いている。
ただ、この宿屋の主人が旅人の私を十分にを酔わせてさえくれれば、いったい、どこが他郷であろうか、故郷に居るのと少しも変わりはないのだ。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)