関山の月(続天 36)

吟譜(PDF)

作者:儲光羲

(七〇六年?~七六三?)盛唐の詩人。兗州(えんしゅう)(現・山東省兗州)の人。七二六年の進士。監察御史となったが、安禄山が長安を陥とした時に強要されて官に就いたたため、乱後は嶺南(現・広東省)に流され、その地で没する。

語釈

*関山月・・・楽府題。「郷里の月影」「関となる要害の山にのぼる月影」の意。
*関山・・・・関所と山。関所のある山。国境にある山々。
*連営・・・・とりでをつらねる。連なり続いているとりで。
*繁霜・・・・たくさん降った霜。
*胡笳・・・・北方(西方)の異民族の吹いた木製の笛
*半夜・・・・よなか。夜半。
*辺声・・・・辺疆独特の物音。辺境の地の馬の嘶き、羌笛、角笛などの音声。

通釈

一羽の雁(がん)が、遥か彼方にある連なり続いているとりでを飛んで過ぎて行き。たくさん降った霜が、自分の(作者)の居る古い街(まち)を覆(おお)った。異民族の吹く葦笛が、どこにあって(=どこからか)夜中に辺境の音色(ねいろ)を起こして伝えてきているのだろうか。

範吟

素読・範吟 鈴木精成