重ねて裴郎中の吉州に貶せらるるを送る(続天 37)

吟譜(PDF)

作者:劉長卿

(七〇九年?~七八〇年?)盛唐の詩人。字は文房。河間(現・河北省)の人。進士に合格して官吏となるも下獄、左遷された。ために、詩には失意の情感や離乱を詠うものが多い。五言詩に優れていることから「五言(の)長城」と称された。七五九年の作。

語釈

*裴郎中・・・未詳。
*貶・・・・・官位を落とされ遠方に左遷される。
*吉州・・・・江南道吉州。いまの江西省吉安市。
*暮江頭・・・夕暮れの川の畔。
*逐臣・・・・都から放逐されて、地方で任官する官吏。左遷された臣下。
*孤舟・・・・ぽつんと一つだけ離れて漂う小舟。孤独な旅路を行く人の表現。

通釈

猿は啼き、旅人は方々に去っていって静かになった夕暮れの河のほとりでは。そういった寂しげな状況下では人は自然と心をいためるものだが、河の水はそのような人の感情とは関わりなく流れ去ってゆく。あなたもわたしもともに追放されて左遷された身だが、あなたの任地はわたしの任地よりももっと遠くであり。青々と茂っている山々が遥かに続く彼方まで、ぽつんと一つだけ離れて漂う小舟のように孤独な旅路を行くのだ。