桂林荘雑詠諸生に示す(その四)(続天 68)

吟譜(PDF)

作者:広瀬淡窓

(一七八二~一八五六年)(天明二年~安政三年)江戸後期の儒学者。初めの名は簡、後に建と改めた。、豊後日田の生まれ。二十六歳の時、日田に塾舎桂林荘をつくり子弟を教育、三十六歳の時、塾生の増加により堀田村に 移り咸宜園(かんぎえん)と言った。門人四千余人の中から多方面に人材を輩出、幕府は育英の功を賞し士籍に列し、苗字帯刀を許した。安政三年没、年七十四歳。

著書に「約言」「迂言」「義府」「析玄」「遠思楼詩鈔」「淡窓詩話」などがある。

語釈

*長鋏・・・・・・長剣のこと。「戦国策」の故事のことば。
*時時・・・・・・常に。
*簡編・・・・・・書物のこと。
*白首・・・・・・白髪と同義。
*談経奪席人・・・経書(学問)にずばぬけている精進している人のこと。

通釈

塾での学業を修めて、さあ帰ろう、故郷の春へ。だが、安閑としてはいられない。常に書物を繙(ひもとく)いて勉学に努めなければならない。見てごらん、いま、白髪になって名も無く埋もれている者を。この男だって、昔は学問にすぐれていると評判だったのだよ。そのように研鑽おつづけなければ、ついには無名の田舎おやじで終わってしまうことを忘れてはならない。

範吟

範吟 鈴木精成