山居雑詩(続天 99)

吟譜(PDF)

作者:元好問

(一一九〇~一二五七年)中国,金末元初の文学者。太原府秀容 (山西省忻県) の人。字,祐之。号,遺山。幼時から神童の名が高く元才子と呼ばれた。一二二一年進士に及第。地方の知事をしばらくつとめ、一二三一年尚書都省掾、一二三四年左司員外郎となったが同年金の滅亡にあい,中国北方を遊歴しつつ著述に専念して一生を終った。その文学活動は南宋の文壇にはまったく知られていなかったが,陶淵明,杜甫,蘇軾,黄庭堅,特に杜甫の詩風に学び,重厚な詩風で当時の第一人者であったといえる。金史を編纂しようとして妨害にあい,多くの貴重な史料を残したまま果さなかった。金詩の選集『中州集』を編んだほか,著として『元遺山先生文集』『遺山楽府』『続夷堅志』が現存する。六十八歳で没しています。

語釈

*山居雑詩・・・山中生活での諸々の詩。『山居雑詩』は全て六首あり、その六首全てが対句のみで構成されている。
*山居・・・・・山中に住むこと。
*雑詩・・・・・興の趨(おもむ)くままに作った、型にとらわれない詩。
*痩竹・・・・・やせ細った竹のこと。
*幽花・・・・・人の目につかないでそっと咲く花。目立たない花。
*態・・・・・・すがた、かたち、ようす、ふるまい、さま。心構えや姿の様子。

通釈

やせ細った竹には藤のつるが斜めに絡みついている。人目につかないようにそっと咲いている花の周りには草が乱れ茂っている。林の高い木立の間を風が吹き抜けたり止んだりしている。木立の間の小さな川は水苔が滑らかに付いた小石の上を音も無く流れている。