塞上にて笛を吹くを聞く(続天 100)

吟譜(PDF)

作者:高 適

(七〇二頃~七六五年)盛唐代の詩人。字は達夫。滄州勃海の人。辺塞の離情を多くよむ。

語釈

*塞上・・・国境附近。
*胡天・・・(西方の)えびすの地の空。
*羌笛・・・青海地方にいた西方異民族(チベツト系)の吹く笛。
*戍樓・・・国境防備の歩哨所。
*借問・・・訊ねる。試みに問う。ちょっと質問する。
*梅花・・・「春を告げる梅の花」という意味と笛曲の名を兼ねている。
*關山・・・関所となるべき要害の山。

通釈

雪が清らかなえびすの地で、牧馬からもどってくると。晴天で満月に近い時なので月は明らかで、西方異民族(チベツト系)の吹く笛の音が防衛のための物見櫓の間から聞こえてきた。少しお訊ねするがこの「梅花」の笛の音はどこから散ってくるのだろうか。風が吹いてきて、一晩中、ここ関となる山に満ちてしまった。

範吟

範吟 鈴木精成