桂林荘雑詠諸生に示す(その2)(天 73)

吟譜(PDF)

作者:広瀬淡窓

(一七八二~一八五六年)(天明二年~安政三年)・江戸後期の折衷学派の儒者。名は建。字は子基。淡窓は号。別号に青渓、蒼陽など。 豊後日田の人。父は諸藩の御用達商人。

徂徠学派の亀井南冥に学び、実家を弟に譲って、文化四年(一八〇七年)書塾瓊林荘(桂林荘?)を開き、一八一七年日田郡堀田村にこれを移し、咸宜園と号して子弟を教育。塾生は四千人にのぼった。

語釈

遠い故郷では、白髪となった両親がわが子の帰りを一日千秋の思いで待ちわびておられることであろう。それなのにこちらでは学は進まず、いたずらに月日のたつことばかり早く、この塾に在学してすでに三年。他郷にある身は今夜寝もやらず、悲しい秋風が吹き荒れ、窓外の樹木の枝をゆるがすのに耳をすましていると、にわかに老いた両親のことが気にかかり、努力して一日も早く業を終えて帰り、お達者なうちに孝行を尽くしたいという心もちがしきりに起こるのである。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)