青の洞門(天 3)

吟譜(PDF)

作者:網谷一才

(一八九二~一九六五年)(明治二十五年~昭和四十年)

神戸市出身、大阪日刊豆新聞主筆、生涯を青年指導と婦人生活の合理化運動に捧げ、作詞・琵琶歌詞を始め作歌報国に邁進活躍した。

昭和四十年(七十三才)没

語釈

*乾坤・・・天地
*命魂・・・命の限り
*恩讐・・・情けと仇

通釈

禅海和尚(一六九一?~一七七一)(元禄四年~安永三年)。江戸中期の曹洞宗の僧。名は福原市九郎。

断崖絶壁で鎖渡しの険しい難路で足を滑らして死に至る人馬は後を絶たないという、その場所に通りかかった僧禅海は自分の犯した罪の償いと人々の為に岩場にトンネルを作る大誓願を起こした。ノミと槌で掘っていく或日、禅海を父の仇と狙う中川實之助が現われた。私は一生の罪の償いと人々の困難を救いたい為、この厳壁を掘り始めたて道を通したい、もう少しの処です掘った暁には討たれましょう暫しの猶予を下さいと嘆願、仇を早く討ちたい一心に実之助も共に掘り、禅海が掘り始めて三十年、遂に貫通し、目の前には雄大な景色が開けた。困難な仕事を成し遂げた二人は感動の涙にふけり喜ぶ。憎しみ・苦しみ・悲しみは山國川の水に流れた。

(映画全盛の時代に「恩讐の彼方に」小説菊池寛作が上映されました)

範吟

素読・範吟 鈴木精成