逸題(天 9)

吟譜(PDF)

作者:勝海舟

(一八二三~一八九九年)名は義邦、麟太郎と称した。幕末・明治初期の政治家、安政二年(一八五五年)長崎の海軍伝習所に入り、安政七年(一八六〇年)咸臨丸で太平洋を横断。維新の際、西郷隆盛を説いて江戸城の無血開城に成功した。

語釈

*芙蓉・・・・・・・・・・・富士山。
*碧旻(へきびん)・・・・・晴れた空。
*擾擾(じょうじょう)・・・慌てふためく。

通釈

晴れた空に聳える富士は堂々として美しい、かかる山の姿を模範として心魂を練るべきである。

危難に遭いあわてふためいても結局なにも出来はしない、難局に遭うごとに私は偉人を思うのである。

 

【備考】

幕末勝海舟の活動は良く知られている。半藤一利「幕末史」によれば、西軍江戸総攻撃の前に親薩摩のイギリスの横浜公使館に行き、ハリー・パークス公使と会談した。(一八六八年三月)。その時、勝は西軍が攻撃するなら江戸を火の海にする、国の為に争いは好まず平和裡に解決したい、万一の場合はイギリス艦船で徳川慶喜公をイギリスに亡命などの話をしたという。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)