逸題(天 10)

吟譜(PDF)

作者:篠原国幹

(一八三七~一八七七年)(天保七年~明治十年)は日本の武士(薩摩藩士)・陸軍軍人である。位階は贈正五位。

旧薩摩藩士、軍人、戊辰の役には薩摩三番隊長として出征して鳥羽伏見に戦い東向して彰義隊を上野の山に破った。

西南の役で政府軍の狙撃を受け戦死、享年四十二歳。

語釈

*逸題・・・・・・・・・・特に題をつけない詩。
*緑江(りょっこう)・・・中国東北地区と北朝鮮の境界を流れる江のこと=鴨緑江
*事(こと)去って・・・・計画が敗れる。
*壮図(そうと)・・・・・壮大な企て。
*手を袖にして・・・・・・手をこまねく。

通釈

朝鮮に出兵して軍馬に鴨緑江の水を飲ませる朝鮮に出兵して軍馬に鴨緑江の水を飲ませるのはいつの事であろうかと待っていたが、征韓論は敗れて雄図も空しく鹿児島の郷里に帰った。この大丈夫の無限の痛恨を誰が理解してくれるだろうか、今は只、何もしないで春風が散らす桜花を詩に詠んでいるだけである。