
作者:李 白
(七〇一~七六二年)盛唐の詩人。杜甫(とほ)と並び称される。蜀(しょく)の錦州彰明県青蓮郷(きんしゅうしょうめいけん
せいれんきょう)の人で青蓮居士(せいれんこじ)と号した。 幼にして俊才、剣術を習い任侠の徒と交わる。長じて中国各地を遍歴し、四十二歳より四十四歳まで玄宗皇帝の側近にあり、後再び各地を転転とし多くの詩をのこす。 安禄山(あんろくざん)の乱に遭遇して、罪を得たがのち赦される。六十二歳、病のために没す。
語釈
*汪倫・・・・安徽省涇県(あんきしょうけいけん)にある桃花潭の村人 酒造家でしばしば李白に酒をもてなした人
*踏歌・・・・手をつなぎ足を踏みならしてうたう歌
*桃花潭水・・・潭はふち 川の水 安徽省涇県にある渕の名
*不及・・・・桃花潭の水の深さも汪倫の心の深さには及ばない
通釈
私は今、小舟にのって、いよいよ桃花潭を出発しようとしている。突如岸の上で足を踏みならしながら歌う声がきこえてきた。この桃花潭の水は、深さ千尺もあるという。それでもその深さは、汪倫が私を送ってくれる情の深さには及ばないのだと、汪倫の 友情の深さをのべている。汪倫や村人たちの素朴な感情と、別れを惜しんでくれる深い心とに感謝した詩である。
備考
李白五十五歳の作、見送る者が旅立つ人に贈る詩が多い中で、この詩は送られる李白が見送る汪倫に詩を贈っている。
(この作品は留別の詩という)
範吟
範吟 横山精真
伴奏
伴奏(2本)
伴奏(6本)