桜祠に遊ぶ(天 25)

吟譜(PDF)

作者:広瀬旭荘

(一八〇七~一八六三年)江戸時代末期の漢詩人。豊後(大分県)日田の人。淡窓は二十五歳年上の兄。天保二年淡窓に代わって咸宜園(かんぎえん)を統括し、その後天下を周遊し名流と交わった。清の兪曲園(ゆ・きょくえん)は旭荘を日東第一の詩人と評した。

語釈

*桜詞・・・・桜の宮。今の大阪市都島区中野町三丁目にある神社で、天照大神と応神・仁徳両天皇を祀る。桜の名所である。
*双黄鳥・・・ひとつがいの鶯。

通釈

桜の花が咲くと、何万とも知れぬ人達が花見に集まってくるが、さて、いったん花が散ってしまうと、誰一人やってこなくなる。ただ一つがいの雌雄の鶯だけが緑濃い葉桜の木陰で、呼び交わしているのである。