太田道灌蓑を借りるの図に題す(天 26)

吟譜(PDF)

作者:愛敬四山

(あいけい しざん)(一八〇二~一八五二年) 熊本の人。通称四郎次と呼び、名は武元(たけもと)、号は四山、白雲楼、華奴(かど)、蕉日(しょうじつ) という。時習館訓導となり詩を好くし嘉永五年十二月没す。

年五十一.著書に「鶏肋(けいろく)集」「白雲楼集」等の詩集がある。

語釈

*太田道灌・・・室町時代中期の武将・歌人 築城・軍略にすぐれ 江戸城の築城者として名高い
*孤鞍・・・・・一つの鞍 転じて 従者も連れずひとりで馬に乗ってゆく人
*茅茨・・・・・かやぶきの家
*花一枝・・・・八重の山吹の花の一枝
*心緒・・・・・心の動き 心中のおもい

通釈

太田道灌がある日、独りで武蔵野の狩に出て俄雨に逢い、とある一軒のかやぶきの家を訪ねて蓑を 借りることを頼んだ。すると、一人の少女が出てきて、蓑ではなく、山吹の花一枝を差し出した。これは、「七重八重花は咲けども 山吹の みの一つだになきぞかなしき」という古歌にことよせて、「蓑が一つもない」と断ったのである。しかし、道灌は この古歌を知らず、また、少女も何も言わないので、英雄の道灌もこの謎を解くことができず、心中何が何やらわからなかった。 城に帰って臣下よりこの歌を教えられて、奥ゆかしい少女の気持ちを知るとともに、自分の無学を恥じた。そして、その後、 大いに和歌を学び、後には立派な歌人となった。

範吟

範吟 横山精真

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)

 

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