垓下の歌(天 40)

吟譜(PDF)

作者:項羽

(前二三二年~前二〇二年)秦末の武将。後の西楚の覇王。劉邦と天下の覇を争い、垓下で敗れ去る。名は籍。羽は字になる。

項羽は、叔父の項梁とともに挙兵し、漢王劉邦と呼応して秦を滅ぼし、西楚の覇王となる。後、劉邦と天下の覇権を争ったが、垓下の戦いで大敗、烏江で自殺。二千年前、楚の項羽と漢の劉邦が天下を争い、垓下で項羽軍は敗れた。

語釈

*氣蓋世・・・気概が天下をおおいつくしている。
*騅不逝・・・愛馬は進まない
*虞・・・・・〔ぐ;Yu2○〕項羽の寵姫、虞美人のこと。

通釈

その勢威は山をも改造して引き抜き、気概は広く天下を掩っていた。時節、時運はわたしに利していなくて、愛馬の騅(すゐ)は進もうとしない。愛馬の騅(すゐ)が進もうとしないのを、本当にどのようにすべきなのか、どうしようもない。虞(美人)よ、虞(美人)よ、貴女をどのようにしようか。

背景

垓下歌・・・楚の項羽と漢の劉邦が天下を争い、やがて垓下で項羽軍は敗れようとするが、その最終段階で、項羽が滅亡を悟った時に歌ったのものとされ、『史記・項羽本紀』や『古詩源』に遺されている。烏江で項羽が亡ぶ前日、四面に楚歌の声が響き渡った時、項羽と虞姫が別杯を交わしたときの情景を歌ったものである。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)