事に感ず(天 85)

吟譜(PDF)

作者:干濆

生没不詳 現実主義の詩人と称せられ、社会の矛盾を直截(ちょくせつ)に訴える作が多い。名は濆、字は子い(しい)、生卒年も生まれた場所も分からない。晩唐 懿宗(いそう)の 咸通(かんつう)二年(八六一)進士にあげられ官は泗州(ししゆう)の判官に終わった。詩に巧みであったが時流 を喜ばず声律に拘束されて軽浮になるのを嫌い古風三十編を作り自ら逸詩と称した。「干濆詩集」1巻 がある。

語釈

*花謝・・・花が散ること
*舊巣・・・ふるい巣 年数を経た巣 住みふるしたところ

通釈

花が開くとこれを慕って蝶が枝に集まるが、花が散ってしまうと蝶がくることもまれである。ただ去年の燕が古巣を忘れず、主人(自分)が貧乏であるにもかかわらず、今年もまた帰ってきてくれた ことは、実にうれしいことだ。

範吟

範吟 鈴木精成