獄中の作(天 90)

吟譜(PDF)

作者:高杉晋作

(一八三九~一八六七年(天保十年~慶応三年)号は東行・名は春風、江戸末期の志士・長州藩士、吉田松陰門下の逸材。尊皇攘夷運動に活躍、第二次長州征伐の時は長州藩の海軍総督として小倉方面にいたが喀血し病床に伏し、維新を目前にして慶応三年四月下関にて没す、享年二十七歳

語釈

*四隣(しりん)・・・・・・となり近所。四方の国々。
*愁情(しゅうじょう)・・・悲しみの情。
*君(きみ)・・・・・・・・藩主のこと。
*潸潸(さんさん)・・・・・涙の流れ出る形容。

通釈

夜も更け人も寝静まってあたりは静かになった。小さな火の光は破れ壁を寒そうに照らしている。
過ぎし日をかえりみて限りない悲しみと限りない恨みが沸き起こり、藩公を思い又父の愛を思い、涙がとめどもなく流れた。

参考

奇兵隊を創設した高杉晋作、もう少し永く生きていたらどんな企画力を発揮しただろう。奇兵隊の構想は、
その後戊辰の役でも官軍側についた越後の各藩や山形の各藩で利用されたという。