失題(天 115)

吟譜(PDF)

作者:古莊嘉門

(一八四〇~一九一五年)明治時代の官僚、政治家。名は惟正(これまさ)、号は火海(かかい)、嘉門は通称名である。肥後(熊本)藩医の子として熊本城下に生まれる。十六歳で木下犀潭(きのしたさいたん)の塾に入り四天王の一人に数えられた。明治二十一年、森 有礼(もり ありのり)文相に選ばれ第一高等中学校長となる。大正四年没す。年七十六。

語釈

*才子・・・知恵のある人
*畢竟・・・つまり

通釈

才子は昔から物事をやりそこなうことが多い。才を頼んで議論を好む結果、議論倒れになってしまって、結局は、世の中に何の利益ももたらさない。見よ、自然は無言の中に運行し、春ともなれば、山は青く茂り、花も時を違えず紅く咲くではないか。

備考

この詩は、森羅万象(しんらばんしょう)の裏(うち)に不言実行の妙を教えている。