春夜洛城に笛を聞く(天 118)

吟譜(PDF)

作者:李 白

(七〇一~七六二年)・盛唐の詩人、杜甫と並び称される。蜀の錦州彰明県青蓮郷の人で青蓮居士と号した。 幼にして俊才、剣術を習い任侠の徒と交わる。長じて中国各地を遍歴し、 四十二歳より四十四歳まで玄宗皇帝の側近にあり、後再び各地を転転とし多くの詩をのこす。 安禄山の乱に遭遇して、罪を得たがのち赦される。六十二歳、病のために没す。

語釈

*暗・・・・どこからともなく。
*洛城・・・洛陽城。東都洛陽の都。
*折柳・・・折楊柳の曲 この曲は漢代以来の古楽府で、別離の情をうたう当時旅立つ人に 柳の枝を折って贈るという風習があった。したがって折楊柳とは別れの曲である。
*故園・・・故郷。
*情・・・・想い。

通釈

誰の家で吹く玉笛であろうか、どこからともなく笛の音が聞こえてくる。 それは折からの春風にのって、洛陽の街いっぱいに満ち渡るようである。 こんな夜、曲の中に折楊柳の曲があったが、この曲を聞けば、 だれが故郷を恋い慕う思いを起さずにいられようか。

範吟

素読・範吟 鈴木精成