
作者:高適
(七〇二?~七六五) 盛唐の詩人、字は達夫(たつぶ)また仲武(ちゅうぶ)、山東省浜州(ひんしゅう)の人。若い頃不遇で貧しく、七四四年杜甫、李白と相識り、年五十歳ごろから詩を作りはじめた。辺塞詩人として有名。豪壮にして節義 を重んじた性格を反映して、詩にも気骨があり重厚である。「高常侍集(こうじょうじしゅう)」十巻がある。
語釈
*除夜・・・・大晦日の夜である 一説によると七〇五年作者四十九歳 の除夜である
*客心・・・・旅人の心情
*客情・・・・ここでは作者の心をいう
*何事・・・・なぜ どうして
*凄然・・・・寂しく悲しいこと
*霜鬢・・・・霜がおりたように白髪のふえた鬢(びん)
*思千里・・・この主語に二説ある (故郷の人々が)千里のかなたにいる私を思う (私が)千里も離れたところから故郷を思う
通釈
旅館の寒々としたともしびのもと、私は独り眠られぬ夜をすごしている。旅人の心はどうしてこのように、 いっそう寂しさを感じるのであろうか。 故郷の家族の者達は、きっと大晦日の今夜遠く旅をしている私のことを、思ってくれているだろう。 明日の朝(元旦)になれば、また、この白い鬢面のわが身は、また一つ年齢を加えなければならない のだ。
範吟
素読・範吟 鈴木精成
伴奏
伴奏(2本)
伴奏(6本)