静夜思(天 157)

吟譜(PDF)

作者:李白

(七〇一~七六二) 盛唐の詩人、杜甫(とほ)と並び称される。蜀(しょく)の錦州彰明県(きんしゅうしょうめいけん)青蓮郷(せいれんきょう)の人で青蓮居士(せいれんこじ)と号した。幼にして俊才、剣術を習い任侠の徒 と交わる。

長じて中国各地を遍歴し、四十二歳より四十四歳まで玄宗(げんそう)皇帝の側近にあり、後再び各 地を転転とし多くの詩をのこす。安禄山(あんろくざん)の乱に遭遇して、罪を得たがのち赦される。六十二歳、 病のために没す。

語釈

*静夜思・・・静かな夜の思い 楽府題(がふだい)の一つで唐代に入って作られるになった  新楽府(しんがふ)である
*牀前・・・・牀は床に同じ 中国式のベッド あるいはねどこ ねだいの前
*低頭・・・・うなだれてもの思いに沈むさま

通釈

静かな夜、ふとねだいの前に、そそぐ月の光をみるとその白い輝きは、まるで地上におりた霜ではなかったのかと 思ったほどであった。

そして、頭をあげて山の端(は)にある月をみて、その月の光であったと知り、眺めているうちに故郷のことを思い、うなだれて感慨(かんがい)にふけるのである。

範吟

範吟 横山精真