時に憩う(天 189)

吟譜(PDF)

作者:良寛

(一七五八~一八三一年)江戸時代末期の僧侶。本姓山本、幼名栄蔵(えいぞう)、のち文孝(ふみたか)と改めた。字は曲(まがり)、 出家して良寛また大愚(たいぐ)と号した。越後(新潟県)出雲崎の人、家は代々神職と名主(なぬし)を兼ね父泰雄は以南(いなん)と号して越後俳壇(はいだん)の雄であった。良寛はその長子。成長して備中(岡山県)玉島の 国仙和尚(こくせんおしょう)に学び、のち諸国を行脚(あんぎゃ)して帰国し国上山(くがみやま)の五合庵に入り、四十七歳から十三年間ここに住んだ。晩年麓の乙子(おとご)神社の庵に移り天保二年一月貞信尼(ていしんに)に看取られ歿す。 時に七十四歳。良寛は俳句、短歌に一家をなし書もまた当代第一と称せられた。

語釈

*擔・・・・かつぐ 背負う
*翠岑・・・春の青々とした峰
*長松・・・丈(たけ)の高い松
*春禽・・・春の鳥(鶯であろうか)

通釈

薪を背負うて春の山路を下ってくる。美しいみどりの峰であるが、狭い路は平坦ではない。
青空にそびえたつ松の下にたどりつき休んでいると、どこからともなく禽(とり)の声が聞こえ疲れをなごませてくれる。
耳を澄ますとあたりの靜けさがひときわ深く感ぜられるのである。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)