箱根の嶺を過ぐ(天 204)

吟譜(PDF)

作者:頼 鴨崖

(一八二五~一八五九年)(文政八年~安政六年)・幕末の儒学者、志士。頼山陽の三男、三樹三郎とも云う。
父没後、川上東山の訓育を受け、その後大阪江戸に出て昌平黌に入門。弘化三年(一八四六年)退寮後東北漫遊に出,松前に渡り松浦武四郎と交歓する。ペリー来航後尊王攘夷論を唱え,国事に奔走し,梁川星巌,梅田雲浜らと謀議画策した。安政の大獄に際して安政五年(一八五八年)十一月捕らえられた。翌年江戸に送られ評定所糾問ののち死罪となる。

語釈

*檻車(かんしゃ)・・・囚人を乗せた車や籠生年

通釈

若かりし頃、この箱根を越えるのに、馬上に鞭をあげて雲間を一飛びに越えたものであるが今日の旅は捕らわれの身で、春雨も冷たく、我を乗せた籠は、昔抱いた理想と共に箱根の関所を越えて行く。