重ねて楓橋に宿す(天 218)

吟譜(PDF)

作者:張 継

(生没年不詳 ) 中唐の詩人。字は懿孫(いそん)、湖北省襄州(じょうしゅう)に生まれた。七五三年の進士。 地方官より中央の検校(けんこう)祠部(しぶ)郎中(ろうちゅう)に至る。張祠部(ちょうしぶ)詩集一巻あり。 『楓橋夜泊』の詩は内外に愛誦される。清の学者兪越(ゆえつ)の書いた石碑が寒山寺にある。

語釈

*楓 橋・・・・江蘇省蘇州の西にあり南北往来の要路。
*白髪・・・・しらが頭
*青山・・・・樹木が青々と茂った山。故郷の山。
*舊時・・・・昔。以前。往時。
*寒山寺・・・蘇州の西郊楓橋の近くにある寺。唐の詩僧寒山が住んだことから名ずけられた。
*半夜・・・・よなか。夜半。中夜に同じ。

通釈

しらが頭になってふたたびこの地を訪れたが、実に夢の中にいるような心地がする。まわりの山々は変わり無く昔のままの姿である。

烏が啼きながら寝ぐらに急ぎ冴えた月が水の面に映るころ、寒山寺から打ち出す夜半の鐘の響きを枕を傾けてしんみりと聽きいったのである。