阿蘇山(続天 5)

吟譜(PDF)

作者:安達漢城

(一八六四~一九四八年)「漢城」は号であり、名前は「謙蔵」。肥後国熊本で生まれ、一九四八年(昭和二十八年)熊本市で没し。安達漢城は熊本の友枝私塾で漢学を修得し、後に一八七九年(明治十二年)創立の済々黌を出てジャーナリストになり、朝鮮半島で邦字新聞『朝鮮時報』『漢城新報』を発行し、社長兼新聞記者として日清戦争に従軍しています。その後政界入りをし、大正時代から昭和初期にかけて政党政治家活躍し内務大臣・逓信大臣になっています。安達漢城は若い時漢学を修めていますので漢詩に造詣が深く、一九三八年(昭和十三年)に大日本吟詠連盟を結成し、吟詠の振興に貢献している。ちなみに「漢城」は李氏朝鮮時代の首都の名前で、現在「ソウル」と呼ばれている所です。

語釈

*巍峨・・・山がごつごつしてそびえ立つさま。
*蘇岳・・・阿蘇山。
*千秋・・・千年。非常に長い年月。
*無窮・・・きわまりないこと。
*万古・・・永久、永遠。

通釈

高く聳え立つ阿蘇山は、千年もの間、この地に抜き出て際立ってある。雄大な外輪山の姿は、あたかも九州を圧するかのように思われる。噴火口の底深くには霊妙な火が秘められており、永遠に、わが国を護るのである。(㈶日本吟剣詩舞振興会編『吟剣詩舞漢詩集』より引用。