石鎚山(続天 9)

吟譜(PDF)

作者:海量法師

(一七三三~一八一七年)江戸時代中期の僧・歌人。今の滋賀県の生まれ。

近江の国のお寺に生まれて住職となり、そのご江戸に出て歌人となった。後に近江に戻り彦根藩主の命を受けて諸国を視察し、藩校を興した。文化十四年八十五歳で没す。

語釈

*遠遊・・・・・遠いところまで旅すること。
*天涯・・・・・たいへんに遠いこと、の意を強調する言葉。
*南予・・・・・南伊予、の意。現在の愛媛県南西部。
*行路・・・・・旅路、の意。
*山色・・・・・山の景色、の意。
*暮春三月・・・新暦の四月下旬から五月中旬辺りの季節。

通釈

千里の遠いところまで旅をし、天涯の地に来た。ここ南予の山は切り立ち、川は巡りめぐって、道は斜めに続いている。

そんな中にあって石鎚山だけがすばらしい景色をあらわしている。 早や晩春の三月だというのに、山上には花の舞い散るかのごとく雪が舞い降っているのだ。