作者:大槻磐渓
(一八〇一~一八七八年)名は清崇、江戸末期明治の漢学者・蘭学者、昌平黌に学び仙台藩儒となる。明治元年奥羽列藩同盟なるや軍の文書司となり、幕軍が敗れたとき罪に問われ終身禁固刑に処せられる。明治四年赦されて上京。詩文を以って知られる。
明治十一年七十八才で没す。
語釈
*煙水・・・川の水にもやがかかっている事
*茫茫・・・広々と果てしないさま
*瞢騰・・・判然としない
通釈
もやに包まれた利根の水は広々と果てしなく広がり、通った水路は遠く消えて行く。日暮れの寒さが骨にしみ酒もさめてうつらうつらと船中で夢を結ぶうちに、いつしか有名な潮来の十二橋を過ぎてしまった。