王昭君(続天 26)

吟譜(PDF)

作者:白楽天

(七七二~八四六年)(中唐時代)に河南省新鄭県に生まれる。名は居易・字は楽天、酔吟先生・香山居士は号である。代々地方官僚で家は貧しかった。日夜学問にはげみ十六歳で詩を作って、詩壇の長に認められた。王昭君の詩は十七歳の時の作。二十八歳の時地方試験に及第、都長安に出る。翌年進士に、更に上級試験を二つ突破、三十五歳で高級官僚コースを歩む。

語釈

*漢使・・・漢からの使者。
*卻回・・・還る。
*憑・・・・たのむ。依頼する。
*蛾眉・・・美人。王昭君のこと。
*贖・・・・あがなう。買う。
*不如・・・しかず。およばない。
*別情・・・別れの悲しみ。

通釈

詩の鑑賞

当時、元帝は、宮廷画家に、宮女たちの肖像画を描かせ、その中から気に入った者を寵愛した。そこで、宮女たちはこぞって賄賂を贈り、美しく描かせようとした。だが王昭君だけは贈らなかった。そのために、王昭君は絶世の美人でありながら醜女に描かれ、元帝の寵愛を受けることなく、政略結婚の犠牲として匈奴の王に嫁がされた。別れのあいさつに進み出た王昭君を見て、元帝は大いに悔やみ、その後事情を調べて画家を殺したという。この詩は、『王昭君』(白居易)は、匈奴に嫁がされた、王昭君の悲しみをうたった作である。

範吟

範吟 鈴木精成