王昭君(続天 27)

吟譜(PDF)

作者:李白

(七〇一年~七六二年)・中国の盛唐の時代の詩人である。字は太白(たいはく)。号は青蓮居士。唐代のみならず中国詩歌史上において、同時代の杜甫とともに最高の存在とされる。奔放で変幻自在な詩風から、後世『詩仙』と称される。

語釈

*王昭君・・・人名・中国歴史上の四大美人の一人。
*玉・・・・・ぎょく・翡翠(ヒスイ)又はそれに順ずる石。
*鞍・・・・・くら・馬の背に乗せ、人が乗り易くする馬具。
*玉鞍・・・・玉をちりばめた鞍。
*紅頬・・・・紅のほほ・化粧した顔
*啼・・・・・なく。
*漢宮人・・・漢の国の宮廷の人
*胡・・・・・匈奴(きょうど)など中国の西北に住む異民族。
*胡地・・・・胡の人が住む土地・今の新疆・蒙古等。
*妾・・・・・めかけ・2号さん・愛人。

通釈

王昭君 玉を散りばめた鞍に補佐され、馬上にてほほに涙をながす。今日は漢の宮殿の人なれど、明朝は胡の国の妾。

参考

◎その後の王昭君・・・胡の地へ行った王昭君は匈奴の単干の閼氏(あつし)、即ち皇后となったのでした。 漢の後宮で埋もれてしまうよりよほどよっかったと思います。 匈奴では漢に対する外交の重要な相談役となり、大切に扱われました。呼韓邪単于の死後次の単于に愛され二人の女の子を産みました。又漢から匈奴への使節を送る時は必ず王昭君の親戚の者を加え、弟が使節団長に成った事もあったそうです。 長安の後宮にいては二度と親族に会えることはなかったのに、匈奴に嫁ぐことで、合えるようになったとも言えます。

◎一般に中国四大美人と呼ばれるのは以下の女性たちである。*西施(せいし)(春秋時代)*王昭君(漢)*貂蝉(ちょうせん)(後漢)*楊貴妃(唐)

範吟

範吟 鈴木精成