帰雁(続天 53)

吟譜(PDF)

作者:杜 甫

(七一二~七七〇年)、中国盛唐の詩人。字は子美。号は少陵野老、別号は杜陵野老、または杜陵布衣。「杜少陵」「杜工部」とも呼ばれる。律詩の表現を大成させた。李白と並ぶ中国文学史上最高の詩人として、李白の「詩仙」に対して、「詩聖」と呼ばれている。また晩唐期の詩人・杜牧の「小杜」に対し「老杜」と呼ばれることもある。

語釈

私は東から千里も遠くへやってきた旅人とである。何年たったら、兵乱が収まって帰れるのだろう。成都に来ていた雁が、高だかと今しも北へと飛んでゆくのを見て、はらわたもちぎれんばかりに悲しい。

備考

帰雁 ( 春に北へ帰る雁 ) 東来 ( 東から来ること。徒歩の郷里鞏県は、成都からみて東である ) 乱 ( 安禄山と史思明の反乱、いわゆる安史の乱が平定されてからも、チベット軍の断続的な来攻があった ) 江城 ( 成都のこと。この詩を作ったとき、杜甫は 五十三 歳で、家族と一緒に成都に澄んでいた )