綺岫宮(続天 54)

吟譜(PDF)

語釈

*綺岫宮・・・漢の武帝が建てた宮殿。洛陽永寧県の西五里に在ったとも、驪山に在ったとも言われている。
*玉樓・・・・美しい楼閣。
*傾側・・・・かたむく。今はもうさびれていること言う。
*粉牆・・・・白く塗られた土塀や壁。
*重疊・・・・いくえにも重なっている。
*青山・・・・あおあおと樹木の茂っている山。
*故宮・・・・綺岫宮をいう。
*武帝・・・・ここでは玄宗のことを諷刺した表現。
*紅袖盡・・・紅袖は紅い袖のことで、ここでは女官をいう。

通釈

「三体詩評釈(野口寧齋著)」に「綺岫宮驪山に在り。漢武の建つる所にして、明皇の曾て行幸せる所なり。山光囲繞するに因って綺岫と名づくという。承句直ちに其の形勝を録して、江山依然として人事の已に非なるを説く。武帝は借りて明皇を指すなり。来は以て爾来の義となす。而して玉樓粉牆青山紅袖黄蝶等の字面、皆以て綺岫を襯出する所以にあらざるは無し。」とあり。