九月九日山東の兄弟を懐う(続天 63)

吟譜(PDF)

作者:王維

(七〇一?~七六一?)中国、唐の詩人・画家。太原(山西省)の人。字(あざな)は摩詰(まきつ)。安禄山の乱後、粛宗に起用され、尚書右丞(しょうしょゆうじょう)になった。仏教を信仰し、長安郊外の輞川(もうせん)に別荘を設けて、友人たちと詩画の創作や音楽を楽しんだ。自然詩・山水画に長じ、南宗画の祖と仰がれる。

同時代の詩人李白が“詩仙”、杜甫が“詩聖”と呼ばれるのに対し、その典雅静謐な詩風から詩仏と呼ばれ、南朝より続く自然詩を大成させた。韋応物、孟浩然、柳宗元と並び、唐の時代を象徴する自然詩人である。とりわけ、王維はその中でも際だった存在である。画についても、“南画の祖”と仰がれている。

語釈

私は見知らぬ異郷の地で独りぽっちだ。 祝い事の日にはなおさら親兄弟のことが恋しくなる。
今日は重陽の節句なのできっと兄弟たちは高台に登って 頭にハジカミの葉を挿しているだろうなあ。その中に私だけがいないのだ・・・。

範吟

範吟 鈴木精成