呉城覧古(続天 84)

吟譜(PDF)

作者:陳羽

(七八五~八〇四年)・江東の人。貞元に進士の第に登し、樂宮尉佐を官。詩一卷。杜甫と親交があった。

語釈

*呉城・・・・呉の都、姑蘇。現在の江蘇省蘇州市。
*覽古・・・・古跡を見て昔を偲ぶこと。懐古に同じ。
*呉王・・・・呉王夫差のこと。「臥薪嘗胆」の故事あり。
*舊國・・・・姑蘇をいう。
*香徑・・・・採香径のこと。西施のために作られた庭園内のこみち。
*歌舞地・・・かつて栄華を誇った舘娃宮のこと。
*年年・・・・毎年。
*舘娃宮・・・蘇州霊岩山にあった、呉王が西施に贈った離宮。現在は、霊岩寺があり、周辺に舘娃宮跡と伝えられる場所がある

通釈

かつて呉王の支配していたこの地 今は水面にかかる靄が空しく広がるばか、香草の茂る小道には人影も無く 蘭の葉は赤くしおたれてる。

春景色は古の華やかな宴遊の場所を愛惜するかのように、毎年 舘娃宮のあとにまっさきに展開する