湖上に飲す(続天 87)

吟譜(PDF)

作者:蘇軾

(一〇三六~一一〇一年)中国,北宋の文学者,書家,政治家。眉州眉山 (四川省) の人。字,子瞻 (しせん) 。号,東坡 (とうば) 。

一〇五七年進士に及第。欧陽修に認められ,英宗の信任を得た。しかしまもなく王安石の新法に反対したため地方官に転出。その後も政争の渦に巻込まれ,また直言をはばからぬ性格もあって,しばしば左遷され,生涯の多くを地方長官で過して終った。父の蘇洵,弟の蘇轍とともに「三蘇」と称される。儒道仏に通じ,詩文書画のあらゆる分野で天才的な業績を残し,宋代を代表する文豪である。黄庭堅,秦観,陳師道,張耒らはその弟子 (蘇門四学士) 。作品『赤壁賦』はよく知られる。書では真跡を伝える『黄州寒食詩巻』が残る。詩文集『東坡七集』。

語釈

*水光・・・水面の輝き。
*瀲灧・・・さざ波のしきりに動くさま。
*空濛・・・霧雨が降って薄暗いさま。
*西子・・・西施。春秋時代の越の國の美女。呉王夫差の愛妃。

通釈

水面にはさざ波のしきりに起って、晴れてちょうどよい、山の色が雨にけぶる風情もなかなかのものである。
西湖を西施と比べて謂おうとすれば、薄化粧も濃い化粧も晴れても雨であっても、どちらもなかなかふさわしい。

備考

(杭州の西)湖上で、酒盛りをしたら、初めのうちは晴れていたが、やがて雨が降ってきた。西湖の風光の麗しさと西施の美を比べて詠ったもの。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

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