諸生と月を見る(天 113)

吟譜(PDF)

作者:中江藤樹

(一六〇八~一六四八年)(慶長十三年~慶安元年)近江国(滋賀県)出身の江戸時代初期の陽明学者。近江聖人と称えられた。
一六一七年(元和二年)米子藩主加藤貞泰が伊予大洲藩(愛媛県)に国替えとなり祖父母とともに移住する。一六三四年(寛永十一年)二十七歳で母への孝行と健康上の理由により藩に対し辞職願いを提出するが拒絶される。脱藩し京に潜伏の後、近江に戻った。藤樹の屋敷に藤があったことから、門下生から藤樹と呼ばれるようになる。朱子学に傾倒するが次第に陽明学の影響を受け、格物致知論を究明するようになる。その説く所は身分の上下をこえた平等思想に特徴があり、武士だけでなく商工人まで広く浸透し「近江聖人」と呼ばれた。代表的な門人として熊沢蕃山、淵岡山、中川謙叔などがいる。

通釈

今宵はすがすがしい風が座敷に心地よく吹き込み、暑さを忘れる。名月は天に輝き、わずらわしい世間を離れ清らかな気持ちになる。たまたま意気投合して人と膝を交えて語り夜の更けるのも知らず、さながら泰平の世の民のように和やかな気持ちになる。

範吟

素読・範吟 鈴木精成

伴奏

伴奏(2本)

伴奏(6本)