秋風の引(天 123)

吟譜(PDF)

作者:劉禹錫

(七七二~八四二年)中唐の詩人。中山 (河北省定県) の人,一説に彭城 (江蘇省銅山県) の人。字,夢得 (ぼうとく) 。七九三 年進士に及第。やがて監察御史となり,王叔文,柳宗元らと政治改革を志したが,八〇五年叔文は失脚,禹錫は朗州司馬に左遷された。十年ののち都へ召還されたが,そのときつくった詩をとがめられて再び連州刺史に移され,八二八 年に都に戻って主客郎中となった。その後も中央と地方の諸官を歴任して没した。地方にある間に民間歌謡に接し,農民の生活や感情をうたい,『竹枝詞』『柳枝詞』などは唐詩の新生面を開いたものであり,地方で広く歌われたという。また,。晩年は白居易と親交があり,唱和した詩も多く,ひたすら詩文の道に励んだ。

語釈

*秋風引・・・秋風の歌。
*何處・・・・どこ(からか)
*蕭蕭・・・・もの寂しげなさま
*朝來・・・・朝方から。夜明けから。
*入庭樹・・・庭の木に吹きかけてきた。
*孤客・・・・一人旅の人。

通釈

どこからか、秋風が吹いて来た。もの寂しげに去ってゆくガンの群れに向かって吹いている。
朝から庭さきの木に吹いてきたのを、一人旅をしている(余儀なくして、無聊であって、鋭敏になっている)わたしが一番先に聞きつけた。

範吟

素読・範吟 鈴木精成