田園の楽しみ(天 182)

吟譜(PDF)

作者:王維

(七〇一?~七六一年):盛唐の詩人。字は摩詰。太原祁県(現・山西省祁県東南)の人。進士となり、右拾遺・・・尚書右丞等を歴任。晩年は仏教に傾倒した。

語釈

*桃紅・・・桃の花が赤い意。
*復・・・・再び。また。
*宿雨・・・前日から降り続く雨。
*家童・・・召使いの少年。しもべ。めしつかい。
*未掃・・・まだ掃除をしていない意。
*山客・・・山に住む人。山に尋ねてきた人。
*猶・・・・まだ。いまだに・・・のようである。

通釈

美しい自然に囲まれた田園のすばらしさを詠う。

桃の花は赤く、その上に、前日から降り続く雨に湿っており。柳は緑色になり、その上、朝靄(もや)がかかっている。
花は落ちたが、一面に散った花びらを召使いの少年には、まだ掃かせていない。日が出て、ウグイスが啼いているというのに、山に住む人(或いは、作者自身をも指すか)は、まだ眠っているようだ。

範吟

範吟 鈴木精成