名槍日本号(天 233)

吟譜(PDF)

作者:松口月城

(一八八七~一九八一年) 名は栄太(えいた)、号は月城。明治二十年福岡市有田に生まれる。熊本医学専門学校を卒業し 18歳にして医師となり世人を驚かせた秀才である。医業のかたわら漢詩を宮崎来城に学び、詩、書画、共に巧みであった。なお本会顧問を永年つとめられる。昭和五十六年七月十六日没す。年九十五歳。

語釈

*名槍日本號・・・朝鮮出征の折 福島正則侯が使用したという槍の名前で黒田侯の家臣 母里太兵衛 (もりたへえ)が拝領して持ち帰ったという
*斗杯・・・・・・一斗入りの杯
*藝城・・・・・・広島城

通釈

酒はもともと好きな方であり、大杯に盛られた酒を一息(ひといき)に呑みほして並居る人々を驚かせたのは、 唯この槍がほしいためであった。 母里太兵衛は主君の使いで芸州侯(福島正則)を訪ね謠曲の一節を歌い且つ舞い、斗杯傾け尽くして約束によって この槍を拝領して帰ったのである。 この詩は筑前今様にあり編曲して今日黒田節といって、あまねく歌われている歌詞を詩作したもの である。

範吟

素読・範吟 鈴木精成